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原子力発電所事故

状況は小康状態を保っています。
今後の推移に関しては、予想として悲観論も楽観論も存在しています。

ここにサイエンスメディアセンターのアドレスがあります。

ここにはTVスタジオでその時々の事象に対して、コメントを求められる学者さんとは違い、

(決して彼らが悪いわけではなく、彼らから客観的な意見を引き出せないTVが悪い、
だってこの現象はと聞かれたって情報が無いから判らないだろ普通)

客観的なデータにより、わかりやすく解説された意見が書かれています。
オイラは当然原子力や原子炉に対しては全くのシロウトですが、多くの関連記事を
読んでいてオイラが感じる原子炉の安全性について書いてみようと思います。

確かに福島の原子力発電所は、設備そのものは初期のもので40年を越えるものです。
海外の学者の論文も多々載っていますが、皆さん冷静にこの事故を考察していると
思います。
彼らが一様に驚くのは、この大地震によって、そして想定強度以上の衝撃を受けながら、
原子炉そのもの、そして格納容器、建屋が破壊されなかったことだったと言います。
ある意味他人事の冷静さは、無責任と言うのではない、冷静な判断を伴うもので、
オイラは信用できるものだと思います。

やれスリーマイルだチェルノブイリだと騒ぎ立てますが、異なる状況の事故を並列に並べても
余り意味が無いでしょう。

調べていくと、チェルノブイリ、スリーマイル、福島の原子炉は、皆タイプが違うし、
冷却方法も違います。
さらに事故に至る過程も違いますから、当然事故現象も違います。

よく言われる再臨界による核分裂によって、核爆発が起こるのかという話になるのですが、
原子爆弾を核爆弾として爆発させるのは非常に難しいことで、臨界に達する核反応に対して
外側から均等に中心に向かい高圧を掛けなければ起こらず、
このコントロールが非常にむすかしいので、
今回の福島より、格段に危機的状況下にあったチェルノブイリでさえ、
(今回の福島は制御棒が入って核反応が終息した状態ですが、チェルノブイリは引き抜かれた
臨界状態でのさらに制御できない暴走状態です)核爆発は起きず、水蒸気爆発によって
燃料棒が飛散してしまっただけなので(事故としてはこちらの方が始末に悪いと思いますが)
今回の福島では、まず核爆発は起こることは無いでしょう。

また飛散に対しては、これもまたチェルノブイリとは構造が違うので同一には、
語れないように思います。
燃料棒の制御を行うにあたり、中性子減速材に水を使うか黒鉛を使うかの
違いはあるのですが、そんなシステム的な違い以上にチェルノブイリ型原子炉は構造的に
万が一の圧力障壁としての格納容器が存在しませんでした。
つまり原子炉はヤカンに沈められたお銚子状態だったということです。
これでは水蒸気爆発などの急激な圧力拡散状況では、外側の建屋を吹き飛ばし、みんな散らばってしまいます。
福島などの沸騰型原子力発電所の構造は逆に、お銚子の上にヤカンをかぶせてその上から
コンクリートで固めた状態ですから、もし万が一爆発が起こっても限定的なものに
なると思います。

さらになぜ、現在原子炉で水蒸気爆発が起こらないかということですが、
水は100℃で沸騰し蒸発することは皆さん知っています。
しかしこれにも条件があり、あくまで大気圧であると言うことです。
実際の原子炉内の水の運転温度は240℃前後ですが、この状態で水は沸騰していても
蒸発してなくなることはありません。
これは非常に内部圧力が高いので、蒸発してしまことができないということです。
これは今の冷却系に対する注水がうまくいかない原因でもあり、非常に困難な状況を
作り出している原因でもあるのですが、しかし大気圧と同じにしてしまった瞬間、
水は瞬間的に蒸発し、膨大な熱膨張を起こしてしまいますから、今それが起こらないことは、
原子炉の圧力容器の健全性は保たれ、効果は不明ですが、冷却が持続的に続いていると
考えられます。
なので持続的な注水と持続的な減圧が常に制御状態にあることだと思います。

ではなぜ水素爆発が起こったかですが、その前後急激に上がった原子炉内の圧力を制御するため
何回か行われた圧力制御弁の開放により、原子炉内部に発生した高圧の蒸気を外部に逃がしましたが、
外部といっても建屋の内部だったため、溜まった水素が酸素と合わさって可燃状態になり、
爆発したと推測されています。
なぜそんな危険なものを建屋内に放出したかということですが、放出された蒸気には
当然放射性物質が含まれていますが、ここに含まれるものは非常に短期に減衰するものですから、
所謂時間を稼いで無害化できるからでしょう。
それでも現在は建屋はないのですから、今後はそのままと言うことになります。
これに関しては、今後飛散した放射性物質がなんであるのか、明確な分析が進めば、
ウランやプルトニュームそのものが飛散しているわけでは無いと思うので、
大きく心配はしていません。
その他細かいことは、悲観論、楽観論共に上記のアドレスの論文に書かれていますが、
多くの情報を収集していくと、現在の政府やマスコミの情報管理と発表が、オイラ達と
それほど違わないレベルであることにガッカリします。
危惧と危険を安心や安全と同じレベルで語ることが、決して適切ではないことの証明でしょう。

現在最大の問題は、建屋内に残る使用済み核燃料棒の存在ですが、これとて燃料棒としては
それほど問題ではなく、今後問題に発展しかねない余熱をどう上げないかに掛っていますから、
今できる事をやっている上では、大きな事象につながる危険性は少ないと思います。

少なくと現時点では、色々調べて行く上で、シロウトのオイラが考えられる、
今の状況です。

今後、最も懸念されるのは、この事故の終息もそうですが、その後の処理に膨大な時間と労力が
かかることであり、それにより福島県民のみなさんに長期的に多大なるご迷惑を掛けてしまうと言うことです。
また現時点での避難区域の設定は適切であり、明確に安全区域が設定されている以上、
救援活動に支障をきたしている事態に対し、福島県南部、茨城県北部に対しては、
政府が安全宣言を出して、活発化するべきです。
これが適切に行われないのでは、国民が政府を信用しなくなるでしょう。

今も原発で懸命に作業を続ける皆様、そして福島で、または他県で避難生活を余儀なくされる
みなさま、心よりお見舞い申し上げます。
東京でぬくぬくとこんなあんぽんたんな事を書いているオイラですが、皆さんのご無事と
一日も早く日常に復することが出来る事をお祈り申し上げます。

追記

田口ランディ氏のブログに専門家が想定した、恐らくマスコミがこれを「最悪のシナリオ」
とするところの想定が書かれています。
結局はハッキリした想定と現実的な事象分析がなされない報道そのものが、
恐怖を垂れ流しているに過ぎないことだと思えてしまいます。
by jyai883 | 2011-03-20 10:21
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