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頭の片隅のなぜ?。9

さて883の1200ボアアップですが、どこが変わるか改めて見てみましょう。
ピストン重量の増大はとりあえず今は見ないとして、

燃焼室の拡大。

ボアの拡大。

圧縮比の変化。(理屈では変わらないはずですし、変えない方向ですが・・・)

逆に変わらないものは・・・

吸排気のバルブ径。

点火時期。

カム(コレによりバルブタイミング、ハイトも変化なし)

この変化不変化は実際の車体では大きな変化をもたらします。
この変化はボアアップと言うチューンナップの有用性を示すものであり、883を俄然元気なバイクに
してくれます。
当時の雑誌も出力グラフや実際の工賃などを上げ、その効果を特集してました。

さてオイラは変化させたものより、変化しなかったものに着目します。
点火時期やカムは、純正1200も同じですからいいとして、バルブ径が純正1200より小さいとどうなるんだろうと考えてみました。
小さいと言っても極端に半分とかではなく、数mmの差異なのですが、コレが意外と大きいのでは思います。

883、1200とも純正状態では適正なサイズのバルブが与えられ、同じカムによって作動させられているわけですから、排気量は違いますが同様の条件で吸排気を行っていると考えます。
当然燃焼力は30%以上排気量が大きい1200の方が強いことはわかりきっていますが、それによって
熱量も大きいででしょうが、この辺は勉強不足で単純に比較はできませんが、確実に多いことはわかります。

しかし、恐らく行われている燃焼状態は、ほとんど同じと考えられ、前にも書いたように1200はノッキングが
起こりやすいと考えますが、純正1200では個別の条件として、考えられていると思う部分もありますから、
一概にノッキングが起こりやすいからと言って、必ず起こるってわけではありません。

ボアアップ1200の場合、燃焼室だけでバルブ変更が行われなくても、それほど高くない回転域では
小さいバルブのほうが流速が速いはずですから、総量としての吸排気の効率の差ははそれほど大きい
ものではないと考えます。

しかしコレが一転、高回転になると事情が変わってくる思います。
単位時間当たりの吸排気の量は、単純にバルブの直径で決まります。
吸排気抵抗を考えるとボアに対するバルブ面積と言うのは、決まってくると思いますから、883では丁度いい
バルブ径でも1200では小さいであろうことは容易に想像できます。

荒っぽい実験ですが、コレは実際の呼吸の中で体験できると思います。
口をつぼめた状態と開いた状態で呼吸をすると、ゆっくり呼吸する場合は口の中の流速の違いが感じられる程度で
呼吸には問題ないと思います。
しかし速い呼吸の場合、口をすぼめた状態では上がる流速も感じますが抵抗も強く、口を開いた状態より
困難に感じると思いますが、コレはシリンダー内で起こっているのではないでしょうか。

まあ純正1200とボアアップの違いは、呼吸実験ほど極端ではないでしょうが、吸い切れない、吐き切れない
状態が起こっていると考えます。
吸い切れない状態はキャブなどに関係なく新気の導入に障害になりますし、吐き切れない状態は、
高温高圧の燃焼ガスの排出に障害になります。
連続する高回転ではこの状態の増大により何が考えられるでしょうか?。
カムのオーバーラップにも変化がないことから、これらの障害は実圧縮の変化をももたらすかもしれません。

この状態の増大で考えられる予想は、

新気の導入不足による混合気による冷却の低下。

燃焼ガスの排出不足による燃焼ガスの残留によって燃焼室温度の上昇、新気の導入不足の原因。

燃焼室各部の加熱増大。

エンドガスの冷却不足。

もしかすると実圧縮が高くなるかもしれません。

上記の状態により燃焼力もより増大するかもしれません。

実際には何が起こるかはわかりません。
正直コレは予想の域を出るものではありませんが、明らかにヒート状態になりやすい条件ですし、
それは即ノッキングが起こりやすい状態になるのではないかと思います。
前に書いた高ノックは、燃焼室に重大なアクシデントをもたらしますが、条件がそろってしまえば、
パーシャル状態などのニードル域でも起こりうる可能性はあります。

あくまで仮定でしかありませんが、この条件がそろって連続したノッキングが起これば、ピストンなどに
深刻なダメージを与えることは前述の通りです。
別にボアアップオーナーを脅かすつもりはありませんが、ある機会にボアアップ883ではピストンの
棚落ちがありうる事を聞きました。
その車体はバルブなどに加工はせずに883のままで、吸排気には社外パーツがおごられていましたが、
連続した高回転でアクシデントが発生したそうです。
また発生件数も複数であるため、可能性を考察してみたわけです。

純正1200ではあまり聞きませんが、考察しながら1200Sも含めこのようなアクシデントの可能性が
あることも考えられました。
1200に対して行われたパーツ変更も(‘88時点では排気量以外は駆動系も883と同じ)それらに対する
対策なのではなかと思われ、その理由も書いてみました。

このような弱点は、限度を超えない限りは起こることは少ないと思いますから、それらをよく理解して
楽しむ限り、直ぐにアクシデントにつながることは少ないと思います。
何よりオーナーが自分のバイクの状態を把握し、限度を知ることが大切だと思います。
折角手に入れたバイクをつまらないことで壊して、嫌な思いと高い修理代を払うこともないですから、
その辺はよく考えてもらいたいと思います。

最もヘッドワーク等、純正1200に準じた、またそれ以上の加工が行われていれば、リスクは純正1200
程度と考えます。
それでもリスクに対する考慮は必要に思います。

またニューエボに対するボアアップ例も聞きますが、実際に熱的に苦しいと思われるノーマル状態での現行車では
どうなのでしょうか?。
ピストン裏面に対するオイルジェットなどの追加は、最初からノーマル状態が熱的に苦しいことを
想像できます。
いろんな意味で現在のラバーマウントでは、ボアアップより最初からメーカーメイドの1200を選択するほうが
賢明ではと思います。

まあこれを読んでいただいて、まだ起きないアクシデントを恐れるより、リスクを知った上で安全に楽しんで
いただければと思います。
by jyai883 | 2010-06-09 10:22
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