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戦車のはなし3(日本編)

次はアメリカとも思ったのですが、ここはある意味ガラパゴス化していた日本事情を書いてみましょう。
太平洋戦争開戦当時、航空機、艦船のレベルは世界最高水準に達していた日本ですが、戦車に関しては
世界的な視野を持たなかったために大きく立ち遅れていました。

まず陸上兵器はその他の兵器と違い国家的なプロバガンダに使用されることが少なく情報が少なく、技術的
更新も遅れていたこと。
日本は日露戦争まで騎兵という兵科を持たず、コッサクの襲撃に驚嘆し、急遽編成された経緯もあり
機動性を高く重視する傾向がなかったことです。
戦車はあくまで歩兵の支援兵器であり、歩兵随伴、火力援護が目的だったことなどで、時代遅れのものになっていました。
またいち早く中国との戦争に突入していましたが、歩兵戦が主な中国戦線では戦車の役割は限定されていたことなどが、大きな技術的必要性を求めなかったんのも原因だったと思います。

そんな理由から日本では軽装備、小型のものが好まれ、あくまで歩兵随伴であり、世界的なレベルでは
軽戦車のレベルであり、実践でロシアやアメリカの戦車に対峙した戦車兵達は恐怖以外何者でもなかったと思います。

用兵的、技術的問題のほかに科学的な技術の遅れもあります。
冶金技術の遅れも大きく同じ装甲板の厚みでアメリカと対峙したとき、日本の砲弾は砕け散り、アメリカの砲弾は紙のごとく貫通したそうで、砲弾、装甲板のマテリアル的な技術でも遅れをとっていました。

では日本の戦車は世界的に見るべきものがなかったのか?というとそうでもありません。
実は現在もそうですが戦車に対して世界で始めて2サイクルディーゼルエンジンを実用化した国でした。
燃料の汎用性や難燃性に有利なこのエンジンを戦車に実用化したのは日本しかなく、資源不足による
苦肉の策とはいえ、その技術的な先見性を見て取れます。

アメリカ製の戦車と対峙し、ソビエト製の戦車に蹂躙され、急激に世界レベルに追いつこうと開発は進みましたが、そのレベルが追いついたのは戦争末期であり、ほとんど本土決戦用に温存されたため、実力は
未知数のままで終わってしまいました。

日本にロンメルやグーデリアンがいれば違ったのでしょうが、海洋国家である日本ではいたしかたなかったのでしょう。
しかし世界的なレベルを垣間見て、その思想を吸収し始めると急激に進化し始めるさまは、戦後の産業革新に通じるものがあるとお思います。

戦後、世界GPの土俵に上がってからの日本製オートバイは急激に進化していきましたが、逆に世界を見なくなったとき、ガラパゴス化しやすいのも日本的なことなのでしょう。
by jyai883 | 2009-11-03 09:19
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