1988‘10月、その黒いスポーツスターは見守るオイラの前をUターンして止まった
軽トラから、ゆっくり降ろされました。 期待とは裏腹に400の単機筒より遅く、グリップ感のないタイヤのお陰で腰高感が強くて 曲がれず、20000kmも持ってしまうブレーキパッドは悲鳴をあげる以外大した仕事は してくれませんでした。 当時は某誌の特集が花盛りで、訳のわからないバイクに気合いを入れるべく、フロントは セリアーニ、キャブはミクニのHS40、リアサスはオーリンズ、ブレーキはPMかグリメカ、 当然エンジンは1200にアップして電装はアクセル、モジュールはSEにして シャーシの強化、外装はCRにしてetc・・・。 目くるめく妄想の世界におりましたが、しかして実際は数回のマフラー交換とリアサスを 上野で買った安いコニにフロントの油量の見直し以外行わないでいました。 なぜなら・・・。 正直あまりに中途半端で改善策が見つからず、とてもモデファイに進んでも効果が 期待できないでいたからです。 タイヤや足回りは改善しましたが、動力とのバランスが悪くとても楽しめる域までには 達せず、トコトコ長距離を走ってあ~大陸的だな~くらいの思いがあるくらい落胆 していました。 翌年ファットボーイが発売され関心はビッグツインに移ります。 バブルの追い風もあって91‘にファットボーイを購入、883は売却されるはずでした。 でもまあ乗ってから考えればいいや的に残され、しばらくファットボーイに 乗りつづけました。 するとどうでしょうノーマルなのにトータルのバランスがすごくいい、走る曲がる止まるが 大した速度域でもないのに絶妙なバランスで働くのです。 まさに目から鱗がぼろぼろ落ちるようでした。 そこから改めて883を見直した時、テクニックとしてのバイクの操作とハーレーが求める バランスをオイラが理解していなかったのに気付かされます。 なぜステップはここでハンドル位置はここなのか、それに伴う着座ポイントの移動範囲は どれくらいなのか、なぜフロントとリアのセッティングが国産とは逆なのか、ブレーキも そうなのか、みんなファットボーイに教わりました。 まずファットボーイの様に乗れるようになろうとせっせと乗り始め、ポジションや加重、 タイミングなどの学習が始まります。 わからなくなるとファットボーイに乗り、感じを掴んで、再び883に乗る、そんな繰り返しが 始まります。 通常のツーリング走行のような状況でファットボーイはバランスの取れた、安定したロードホールディングを示し、コーナーにおいてもニュートラルな挙動を示します。 883では積極的に走りに行く事で同じ状態になる事に気付きました。 遅い速度域ではこれが安定に強く働くので、緩慢な感じになり面白味がなくなります。 丁度オフ車をロードでだらだら乗ってもつまらないのに似ています。 アクセルワークも重要です、メリハリは大切で全てが開けることによってバランスするので 開けられないと不安定な挙動を示します。 正直これが判ってからは、ツーリングでも何でも全ての走行がテスト状態になりました。 乗れてくると不満も出てくるので、フロント油量を変え、リアサスのセッティングを変え 吸排気にも手が入り、入れてはセッティングで走り、ツーリングどころではありません。 疲れるとファットボーイに乗って日長だらだら田舎道を走り、またセッティングと学習が93‘頃まで続きました。 だいたい自分にもバイクにも満足できる状況になっていた95‘衝撃のモデルS1ライトニング登場です。 そして友人が買うと言うので試乗に付き合う事になりました。 この頃はやっと最初に書いたモデファイをやってもいいなと思い始めた頃で、今なら十分楽しく面白く走ることができるだろうと思っていたので、お金もためて時期をうかがっていた頃です。 そしてM2に試乗したときは、まあこんなもんだろうと思っただけでした、S1に試乗した時には稲妻が走りました。 店主のレーサーでもあったS1は今まで乗せてもらったあらゆるハーレーとも違う異次元の走りを見せつけてきました。 一緒に試乗していた友人と交換した途端、今まで学習して来た事が右手のコントロールだけでできてしまい夢中で走っていたオイラは明治通りを車を縫いながら、前走する見ず知らずのBMK1を追いかけ、150kmで走行白髭橋のギャップでジャンプしてました。 「オイラのバイクもこうしてやる!」と思った瞬間!、あ~その金額でビューエル買えるわと 気付きオイラには無意味なこととなってしまいました。 それ以来、883でドコまで何ができるかに関心が移り、全てのモデファイは純正部品のセットアップとチューニングになってしまいました。 まあこれが883で乗り続けている真相ですが、その後かなりきっちり手の入ったビューエルを超えてしまいそうな1200に二度ほど乗る機会がありました。 スゲ~とは思いましたが今の自分には必要無い事も見せつけられてしまいました。 まあ4速でいじりすぎると「やり過ぎ!」ってちゃんと壊れてくれるので、きっと4速883は このままずっと今のままで行きそうです。 でも逆にパワーに誤魔化されない、スポーツスターの面白味も味わえたと考えています。
by jyai883
| 2005-10-07 11:01
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