では全くのノーマルの4速883のエンジンをかけてみましょう。
4速モデルには2種類の機構の違うキャブレターが存在し、同じケーヒンバタフライキャブと CVキャブですが口径が違い、またジェット類も互換性がありません。 さらにCVキャブにもスロットルポンプの有無があるため、正確には3種類のキャブが存在します。 エンジン始動の前にまず燃料コックをONにします。 4速モデルは、‘02以降の負圧コックとは違い自然落下なので、停止中にコックが開いていると オーバーフローすることが良く有りますが、最悪は大量の燃料がシリンダー内に流れ込み、クランクケース 何に浸透する場合があります。 この場合は循環するオイルは著しく機能を失い、最悪焼きつきが起こりますし、クランクシールも損傷するし、 エンジンそのものの延焼も考えられるでしょう。 エンジン各部の接触面の消耗もありますから、注意が必要です。 止めたらコックOFFのクセが必要ですね。 オイラの883はCVキャブですからここでエンリッチナーノブを引いて、別回路からガスが出るようにしますが、 アクセルポンプがあるモデルなら、気温の高いときは作動させればエンリッチナーを使う必要がない場合も ありますが、オイラのはそれがないので、いかなる場合でもコールドスタートは、エンリッチナーを 使います。 エンジンが始動したら30秒ほどそのまま回し、アクセルストップスクリューを締め、アクセルを少し開け エンリッチナーノブを半分戻してハイスローで暖気します。 現在はキャブセットが出ているため、この状態で1分ほどで走れてしまうし、夏場だったら直ぐに アクセルのみで暖気に入りますが、ノーマル状態は薄いのでこのまま2分ほど回し、ノブを戻しても 回転が落ちないようなら、全部戻してさらに2分ほど暖気すれば走れます。 いずれの場合もそうですが、エンリッチナーの使用はいっぱい引いた状態では、30秒以上使うことは やめた方がよいでしょう。 非常に濃いガスが供給されるので、プラグの汚れも著しく、スロットルを併用しないとうまくいきません。 国産モデルのようにチョークのみの暖機は不可能です。 またセッティング出ていれば短時間で走行できますが、2kmほどはいろんな意味で暖気状態と考えます。 走り出してしまえば操作は、他のバイクと変わりませんが、公道での走行では半クラッチの状態を できるだけ少なくし、クラッチは確実に断続します。 またギアのシフトも国産とは比べられないくらいストロークが長く、5速と比べても長いため確実な シフトが必要です。 クラッチの調整も確実に切れる方向に持っていき、停止状態でのシフトに関して多少クラッチを戻して 入れなおすくらい確実に切れていれば、シフターやクラッチレリースベアリングに対する負担も 減るでしょう。 まず1速に入れて面食らうのは、物凄い飛び込み音ですが、余りひどい場合は前記のクラッチ調整の 不足も考えられます。 もっともどのような状態でも(シフター各部の面研をしたあとでも)、この飛び込みは起こりますが、 音は確実に小さくなるし、クラッチ調整が確実ならばそれほど大きくないはずなので、その辺の目安にも なるでしょう。 この後確実にシフトしながら増速するわけですが、じっくりシフトしていくと、1~2、2~3、3~4の シフトアップがそれぞれ足に伝わるシフトの感じ違うことを感じ取ってください。 それぞれギアの入りや動きが違うわけですが、国産のようにシフトすれば入ると考えると、 ギアの動きが中途半端となり、飛込みが起こったり、抜けが起きたりします。 このような状態を継続させると、ミッションに関する重大なトラブルにつながります。 入れれば入るのではなく、確実に入れてやるような意識でいれば、最後までしっかりシフトできるし、 安心です。 じゃあ強くやればいいかというとそうでもなく、強引なシフトはシフターへの大きな負担につながり、 部品の損傷もありえますから、入るところにしか入らないくらいの余裕が必要でしょうね。 エンジンブレーキ関しては、普通の走行程度ならば1速ダウンくらいは大丈夫ですし、 アクセルオフのエンジンブレーキは全く問題はありません。 スポーツスターのエンジンブレーキに関しては、さまざまな問題がありますが、同時に上記のシフトの 問題もあり注意は必要です。 だからと言って2ストのコーナーリングのように常にクラッチカットを気にする必要はなく、 せっかく強力なエンブレが使えるのですから、普通に使う分にはそれほど問題にはならないでしょう。 これに関しては後述することにしましょう。 4速ブレーキングですが、パッドを変えた状態でも基本的にリアが主体になります。 フロントブレーキは故意にピストン比率が小さく取られ、効きが制御されていることがわかります。 車体バランス的に5:6ほどの比率で後軸の方が重く、ブレーキングによる重量移動もそれほど 無いため、リアブレーキの効果が高められていると思います。 リアブレーキだけでもフロントサスが作動するような足回りのセッティングのせいもありますが、 このバランスが基本的な動きを司っていると思うので、この辺のバランスをオイラは崩したくないと 考えます。 このブレーキバランスを崩すならサスのセッティングも当然セットで見直す必要性があり、 さらには、舵取り機構に対するアプローチの必要性も出ますから、そのような考慮も必要になります。 オイラはこのバランスが持ってる軽さやニュートラルさが好きなので、バランスをそのままに 好みに見直す程度にとどめています。 文字に書くと非常に面倒くさそうに思えてきますが、実際は慣れの範疇なので、付き合っていくうちに 自然なことになります。 昔のハーレーでは、バイクに対する乗りやすさを論ずる前に、どうしたらこのバイクを乗りこなせるかと 言う言い伝えのようなものがあり、乗れないのであればそれはバイクの問題ではなく、乗り手の問題 であると言う、硬派な面がありましたが、4速にもそのような面は多々あると思います。 自分が乗りやすいようにはしますが、それは他人が乗ってどうこう言うものではないので、 オーナーだけが乗りこなせればOKのようなところはあります。 タダぶつくさ文句を言いながらも、結局乗ってしまい、買い換えることも無く所持し続けるオーナーも多い、 ちょいとクセのある、またそこに面白みのあるバイクではあります。
by jyai883
| 2010-09-29 09:43
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