今日はついでにトランスミッションも考えてみたいと思います。
4速エボスポーツスターのトランスミッションは、それまでのショベル4速とも、当然その後の5速とも 違った独自のものです。 主な違いはシフター内部にあり、オルネーターの採用によりクラッチハウジングが発電装置を 兼用するようになり、クラッチ裏にコイルが設置されたことにより、シフターのロッカー機構が 行き場を失い、トラップドア内側に押し込まれたことから、話がややこしい方向になってしまいました。 それまでショベルはACジェネレーターでしたから、エンジン前部にその機構を持っていましたが、 発電量の安定を図ったオルタネータの採用でトラップドアにミッション以外の機能が付加された結果、 もともとひどく単純な構造だったシフターのロッカー機能が恐ろしく複雑で、もろいものになってしまった といわざるを得ません。 4速エボではこのためにシフタードラムとトラップドアのわずかな隙間に沿うようにロッカー機構が 組み込まれましたが、これがまたタダでさえ弱点の4速トランスミッションにさらなる弱点を与えてしまいます。 もともとこの機構はシフトされたドラムをロックできればいいだけの単純なものでした。 事実ショベルまではスプリングでアップされるピンロックだったわけです。 しかしトラップドアの裏側にオルタネータの発電コイルが設置されたため、このピンロックは行き場を 失ったわけです。 その措置として隙間にシーソー型のロック機能は設置されたのですがこれが大問題。 単純な上下運動の他にドラム外周面を追従する結果回転方向左右にもひっばられ、 またドラム外周の凹凸形状が一様でないため、シフトの作動させかたによって、予期しない接触や 圧迫が起こる結果、このロッカーそのものが折損してしまい、ミッショントラブルの原因になってしまいました。 この辺はメーカーも追証してるので対策部品として、改訂B品番まで存在しますが、解決には至っていません。 また一時削りだしの精密部品も存在しましたが、シフト時の運動方向が確定できず、余りに精度を 上げてしまった結果、シフトそのものに困難や不具合は生じてしまいましたから、現在は 入手不可能になっています。 今見るとこの部品は純正ではB品番以外は出ないし、社外ではVtwinのスチール製以外見ませんが、 Vtwinのスチール製に関して全然情報がなく、もしここを見ている方で実際使用していて、不具合が ないようでしたら、是非教えていただきたいと思います。 実際しばらく使ってばらしてみないと解らない部品ですから、そのようのリポートをお持ちしています(笑。 なお純正に関しては、オイラの4速は最初からB品番の仕様でしたが、やはり1度折れています。 ここの折損は一様に両端のガイドまたは手前で起こり、直接的なギアトラブルの原因にも成りますから 注意が必要です。 また事象は必ずシフト中、つまり走行中に起こりますから、細かい破片のギアへの噛み込みは避けられず、 純正のアルミダイキャストだったら、小さいものなら影響が少ないので、オイラは今でも純正を 使用しています。 ミッションそのものではカウンターシャフトの折損やギア割れが有名です。 特にドックの破損は4速以降現在に至っても、見受けられるトラブルですから、注意が必要です。 ただ4速エボ以前は、ギアそのもの折損もあり、ひどいものはシャフトまで折れてしまうこともあります。 主な原因は過度なシフト、リアからのバックトルク、エンジンからの回転トルクなどでいずれの場合でも 極端な行為(過激なシフトダウンやエンジンブレーキ、低回転からのワイドオープン)などにより 起こりやすい事象です。 このとき起こるミッションロックは、クラッチでは回避できず即リアがロックしてしまいますから、転倒リスクも 避けがたいでしょう。 上記の原因のほかには、オイル管理の不備による磨耗や摩滅がありますが、ミッション部品そのものが 容量750フルチューン程度しかないため、意外と華奢なので、乗り方として理解しないと 遅かれ早かれ起こる事象です。 純正対策部品としてシャフトのスラスト部分を強化したシャフトが存在しますが、ギアも含めた アッセンブリーでの交換部品のため価格も高く、周辺部品の変更も含め部品代だけで、40近くは 行ってしまうので、よほどのことがない限りみなさんやりませんね。 シフトの扱い方や、ギアを後期のものや社外の強化タイプに交換すれば少しは安心ですか、 多くは2~3または3~4へのシフト時にスライドギアで起こるため、必ず対で2nd、3rdギアを 交換するため、かなりの出費はさけれられません。 やはり最終的には乗り方や扱い方に重点があることは、避けられないことですから、丁寧で 適切なシフトが求められるのは致し方ないでしょう。 まあ上手に乗ってやればそうそう壊れないし、オイルの選択や、部品加工など相談できる経験豊かな メカニックがいれば心強いですね。 シフターなどは接触面の面研や面取りなどで、シフトのタッチなども改善されるし、ショックも 軽減されます。 またレストアされている方などは、現代的な表面処理などにも挑戦されていますから、 組みあがって、実走したときのレポートは期待されますね。 まああ~だこ~だ考えるより、このミッションとシフトの操作に熟知して、慣れることで、普通には 壊さなくなりますから、その辺はオーナーの腕次第ってのも事実です(笑。
by jyai883
| 2010-08-25 10:59
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